アレキサンドライト

Alexandrite

アレキサンドライトとは

アレキサンドライトは、鉱物としては「クリソベリル(クリソベリル/Chrysoberyl)」の中でも、特にライトの種類によって色が変わる=「カラーチェンジ」性質を持つバラエティです。
鉱物学的には化学式 BeAl₂O₄(ベリリウム・アルミニウム・酸素)で、そこにクロム(Cr³⁺など)が微量に入り込むことで、色変化を引き起こします。
そのため「昼間には緑っぽく、夜や白熱灯下では赤っぽく見える」など、別名「昼はエメラルド、夜はルビー」のように喩えられることもあります。
非常に希少な宝石であり、良質なものはダイヤモンドにも匹敵する価値を持つと言われています。

特徴(構造・硬度など)

鉱物名:クリソベリル(Chrysoberyl)変種としてのアレキサンドライト。
化学式:BeAl₂O₄(ただしクロム等の微量元素が色変化に関与)
結晶系:直方晶系(orthorhombic)です。
屈折率・比重など:屈折率おおよそ1.746~1.755あたり、比重3.70-3.78あたり。
硬度:モース硬度で 8.5。これは、サファイア・ルビー(硬度9)には及びませんが、そこそこの硬さを持ち、日常の装飾品として十分耐えるレベルです。

カラーチェンジ(色変化)

アレキサンドライト最大の特徴は、光源によって色が変わること。

・昼光や蛍光灯など「白色光」下では緑・青緑系
・白熱灯・ろうそくなど「暖色光」下では赤・紫赤系 に見える。 この現象は「アレキサンドライト効果(Alexandrite effect)」とも呼ばれ、クロムイオンが光の波長を吸収・反射することで起こると説明されています。

産地

・ロシア/ウラル山脈(トコヴァヤ川付近の鉱山)
最初に発見された産地。質・歴史ともにハイグレード基準となっています。

・スリランカ(セイロン)
ロシア産ほど強いカラーチェンジではないものの、比較的入手しやすい産地。

・ブラジル(ミナスジェライス州など)
1980年代以降、発見された。大きめの石も出るが、カラーチェンジはロシア産に匹敵する高品質のものも存在する一方で、全体としてやや濁りやすい傾向がある。

・インド、タンザニア、マダガスカルなど
その他の産地として確認されています。品質・流通量は比較的限定的です。

ロシア皇帝の宝石

アレキサンドライトの発見は1830年代、ロシア・ウラル山脈のエメラルド鉱床です。
最初はエメラルドと誤認されたのち、ろうそく灯の下で赤く見えることにより新種として認識されました。
石名の由来は、発見された1830年当時、皇太子だったアレクサンドル2世にちなむという説が有名です。一部では彼の誕生日(1834年の16歳時)と関連づけられますが、実際の命名は発見直後とも。
19世〜20世初頭のロシア皇帝宮廷では、その緑と赤という帝国軍の色と重ねられ、非常に貴ばれた宝石でした。

パワーストーンとしての意味

カラーチェンジすることから「変化・転換・適応」を象徴する宝石とされます。例えば「環境や状況が変わっても揺るがない心」「新しいステージへの橋渡し」といったイメージ。
また「幸運・繁栄(ラッキー・プロスペリティ)」を呼ぶ石としての意味も伝えられています。
古くはロシアで「良い前兆をもたらす石」として扱われたとも言われています。


効果

感情や精神面で「変化の時期」を迎えている人に、前向きな転機をサポートする石とされています。
自分自身の内面変化(価値観の変化・新しい挑戦など)を後押しする象徴として用いられることがあります。
勝負や節目(転職・移住・新生活開始など)に「良き変化と成功」を呼び込むお守りという意味付けをされることも。

カラーチェンジという特性から「調和・バランスを保つ」という意味でも語られ、二つの色(緑と赤)が「静と動」「癒しと情熱」を表すという解釈もあります。


どんな人におすすめ?

・人生の転換期にあり、「今までとは違うステージ」に進みたいと感じている女性(あるいは男性)に。
・自分自身の内面成長・変化を大切にしており、ただ「綺麗な石」ではなく「意味のある石」を求めている方に。
・装いとしても「少し個性的で特別感のある天然石」を探している手作りアクセサリー作家・愛好家にも。
・誕生石や記念石として「珍しい石」を選びたい方。一般的な宝石とは一味違うストーリーを重視する方に。

石言葉「変化への対応」「幸運を呼ぶ」「新たなステージへの飛躍」

誕生石

アレキサンドライトは、6月の誕生石のひとつです。 6月生まれの方へのギフト記念ジュエリーとしても人気があります。

FAQ

Q1.アレキサンドライトの意味は何ですか?

色が変わるという特性から、「変化・適応・転機」を象徴する石とされ、また「幸運・繁栄」を呼ぶ石とも言われます。

Q2.アレキサンドライトの硬度はどれくらいですか?

モース硬度で 8.5。硬めの宝石なので日常使いのアクセサリーにも向いていますが、硬度=無傷というわけではないため、ぶつけたり過度な衝撃には注意が必要です。

Q3.本物のアレキサンドライトを見分けるには?

カラーチェンジのはっきり度(緑⇔赤)を確認すること、産地証明・鑑別書の有無、インクルージョンの状態、信頼できる販売元から購入することがポイントです。加えて、アレキサンドライトではない「カラーチェンジ石(模倣・合成)」も存在するため注意が必要です。

Q4.アレキサンドライトはどのような人におすすめですか?

人生の転機に立つ方、新しい挑戦をしたい方、自分の成長や変化を意識している方に特におすすめです。アクセサリー作家や天然石愛好家としても、「希少石を1点投入したい」方に適しています。

Q5.アレキサンドライトの価格・価値はどう決まりますか?

主に「カラーチェンジの強さ」「色の純度・鮮やかさ」「大きさ(カラット数)」「透明度・インクルージョンの少なさ」「産地(ロシア産が最高評価)」「希少性」が価値決定要因です。良質なものは非常に高価となるため、流通量の少なさも影響します。

ブラジル産アレキサンドライトの原石スライスです。両面磨かれカラーチェンジが認められます。

光源により色が変化するものをアレキサンドライトといい、大変高価な宝石になります。白熱灯や電球の光の下では、モスグリーンからパープルレッドに変化します。

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