エメラルドは、緑柱石という鉱物の一種で、強い緑色をした宝石です。
エメラルドの緑色は、クロミウムやバナジウムなどの微量元素によって発色されます。
エメラルドは世界で最も価値のある宝石のひとつで、古代から愛されてきました。
エメラルドの産地は、世界中にありますが、最も有名なのはコロンビアです。
コロンビア産のエメラルドは、鮮やかで品質の高いものが多く、世界シェアの約50％を占めています。
次に多いのはザンビアで、世界シェアの約20％です。ザンビア産のエメラルドは、コロンビア産よりもやや青みがかった緑色をしています。
そのほかにも、ブラジル、ジンバブエ、パキスタンなどが主な産地です。各産地によって色味や内包物などの特徴が異なります。
エメラルドには、以下のような様々な逸話があります。
– 古代エジプトの女王クレオパトラのお気に入りの宝石。彼女はエメラルドの鉱山を所有し、自分の肖像や象徴をエメラルドに彫り込んでいました。
– 古代ローマの哲学者プリニウスが「緑の火」と呼んだ宝石。彼はエメラルドの色が目に優しく、視力を回復させると信じていました。
– エメラルドは中世ヨーロッパでは魔法や予言の力を持つとされていました。特に有名なのは、魔術師マーリンのエメラルド・タブレットです。
– インカ帝国では神聖な宝石として崇められていました。インカ人はエメラルドを神々への捧げ物として使ったり、神殿やお墓に埋めたりしていました。
エメラルド・タブレットは、錬金術の極意や奥義が刻まれた巨大なエメラルドの石板のことで、錬金術の起源とも言われています。
古代エジプトの神トト（ギリシャ神話ではヘルメス）が作ったと伝えられていますが、中世ヨーロッパではヘルメスと同一視されたマーキュリー（マーリン）が作ったとされています。
残念ながらエメラルド・タブレットは現在、実在が確認されていません。エメラルド・タブレットに関する言い伝えや記録はありますが、その真偽や信憑性は不明です。
エメラルド・タブレットの最古で最初のものは、古代エジプトの神殿に隠されていたと言われていますが、その後の行方は不明です。
12世紀頃にアラビア語からラテン語に翻訳されたとされるものがありますが、これも贋物の可能性が高いと考えられています。
エメラルド・タブレットに刻まれた内容は、古代の叡智や錬金術の原理を示すとされる言葉です。
その内容は、様々な言語に翻訳されていますが、その正確な意味は謎に包まれており、
17世紀にはアイザック・ニュートンによって英訳されています。以下にそのニュートンの英訳をご紹介します。
『これは偽りのない真実、確実にして、このうえなく真正なことである。
下は上の如く、上は下の如く。奇跡を成し遂げる一つのものによって。
そして万物は一つであるから、万物は一つから生まれた。
太陽はその父であり、月はその母であり、風がそれを腹に受け入れた。
地はその乳母である。父である一つのものはこの世界における全てのものである。
その力は完全であるとき、地に降り注ぐ。
地から分離されたものは微細なものであり、昇華されたものは高貴なものである。
地と天との間に降り立つものは大いなる力を持ち、万物を支配する。
それが火よりも火であり、万物を貫き通す。この世界における全てのものはこの方法から生まれた。
それゆえ、偉大なものは微細なものから生まれる。
自然界が示すように、万物が分離されて結合される。
この方法によって、あらゆる驚異が成し遂げられる。
そしてこの方法によって、世界は創造された。これが強力な方法である。
それゆえに、私はヘルメス・トリスメギストスと呼ばれる。
私は三つの世界における全ての知識を持つからである。』
確かに意味がよく分かりませんが、要約すると
万物は一つのものから生まれ、太陽と月、風、地などが関連している。
父である一つのものの力が完全であるとき、地に降り注ぎ、地から分離されたものは微細なものであり、昇華されたものは高貴なものである。
地と天の間に降り立つものは大いなる力を持ち、万物を支配し、火よりも火であり、万物を貫き通す。
自然界では万物が分離されて結合され、驚異的なことが成し遂げられる。この方法によって世界が創造される。
私はヘルメス・トリスメギストスと呼ばれ、三つの世界における全ての知識を持つ。
という事のようです。。。
世界最古の錬金術の叡智が刻まれた石板が、エメラルドであるという所に
ロマンを感じますね♪
