こんにちは ボーディーツリーです。
先日、奈良の春を告げる「修二会(しゅにえ)」に初めて参加しました。
東大寺二月堂で3/1~14まで続くこの行事は1200年以上もの間、一度も途絶えることなく受け継がれてきたそうです。人々の罪を懺悔し、世の安寧と五穀豊穣を祈るこの儀式には、さまざまな神秘的な行が含まれています。「お水取り」と言った方がピンとくる人は多いかも知れませんね。
東大寺の「お水取り」千年の水の伝統
「お水取り」は、奈良・東大寺二月堂で行われる修二会の重要な儀式で、3月12日の深夜に二月堂の「若狭井(わかさい)」から清らかな水を汲み上げ、本尊の十一面観音菩薩にお供えします。この水には、世の人々の罪を清め幸せを願う祈りが込められています。一方、「お水送り」はその“水の旅路”の始まりとなる儀式で、3月2日に福井県小浜市の神宮寺で行われます。遠敷(おにゅう)川から聖なる水を流し、それが地底を伝って奈良の東大寺二月堂へ届くと言い伝えられています。
二月堂の縁側を火の玉が舞う「お松明(たいまつ)」
毎晩19:00頃、練行衆(れんぎょうしゅう)と呼ばれる修二会の僧侶たちが二月堂に入堂する際、先導役の「童子(どうじ)」が大きな松明を持って、彼らの足元を明るく照らします。
お松明の火には「けがれを払い清める」という意味があり、無病息災や厄除けのご利益があるとされています。特に燃え盛るお松明から舞い散る火の粉を浴びると、1年間無病息災で過ごせると伝えられています。
お松明の大きさも圧巻で、長さ約7メートル、重さは約40キロもあるのだとか!火の粉を散らしながら堂の回廊を駆ける様子は、まるで炎の玉が夜空を舞っているような迫力です。「お松明」は3月1日から毎晩行われますが、特に3/12のものは「籠松明(かごたいまつ)」と呼ばれ、特別に大きな松明🔥が灯されるのですって。
お松明の後、二月堂の堂内で行われる「初夜の勤行(しょやのごんぎょう)」は、僧侶たちが二月堂に集い、祈りを捧げる読経とともに静かに始まります。灯りがともる堂内には外の世界とは異なる深く厳かな空気が漂います。
そして「初夜の大導師作(しょやのだいどうしざく)」と呼ばれる特別な儀式へ。その夜の導師(法要を導く僧侶)が、悔過(けか)の祈りを込めた声明を唱えます。人々の罪を懺悔し、清めるための祈りが響くこの瞬間は、修二会の精神を象徴するもの。長い年月を超え、変わることなく続く声に耳を傾けると、時の流れさえも忘れてしまいそうです。
異世界にトリップする「達陀(だったん)」
そして修二会のクライマックスともいえる「達陀(だったん)」。
堂内で行われる火の儀式で、不思議なお面を被った僧侶たちが松明を激しく振り回し、火の粉をまき散らします。
その炎は邪気を払い、世界の浄化を意味するのだとか。堂内いっぱいに燃え盛る炎の光景は、まるで火の玉が舞うような迫力です。
炎のゆらめきと読経、鈴や鐘、ほら貝の音色が重なり合い、異世界に迷い込んだような感覚さえ覚えます。
お堂の中での撮影は一切出来ませんので写真はありませんが、五感をフルに働かせて参加できる修二会、この深夜迄続く行のすべてが終わると、奈良には春の訪れがやってくると言われています。
奈良を訪れたなら、1200年の祈りが繋いできた独特で神秘的な瞬間を、二月堂で感じてみるのも良いかも知れないですね。
※お堂の中はとても寒いので、防寒装備万全で挑んでください。